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連載 第4回: 「ある営業所だけ売上が伸びている。なぜ?」

2012年10月29日 1件のコメント

「ある営業所だけ売上が伸びている。なぜ?」

基本にたちかえって勝負するための統計思考力、データ分析力

みなさん、こんにちは。 TiD代表理事 の竹之内です。

前回は、結論から入るロジカルシンキングの鉄則パターンをお伝えした。覚えていますか?
1. 結論から申し上げると・・・

2. なぜならば・・・

3. 具体的に言うと・・

4. よってもって(以上のことより)・・・

 

の順番でしたね。

さて、それを前回提示したユースケース【ある営業所だけ売上が伸びている】に当てはめて提示してみます。

回答例)

 

 

1.結論から申し上げると、 西東京営業所は他の営業所とは一味ちがう営業マンと仕入れ担当者とのコミュニケーションのよさが【欠品を絶対におこさない在庫管理】に結びついています。

加えて【抜群の提案行動力】にうらうちされた営業活動が結果をだし続けています。

 

 

2.なぜならば、 ”過去6ヶ月間の欠品発生回数”を見ていただくと西東京は欠品ゼロです。

さらに【営業所の販売計画と出荷実績の差異が一定の範囲にコントロールされている】ことを裏付けています。

 

解説図

 

3. 具体的に言うと、  “販売計画精度グラフ” をご覧いただけば、行動が結果に結びついているという裏付けになります。

 

“月間の提案回数”や「食品業界」にターゲットを絞って営業提案をしていることが結果をだしていることがうかがえる。

他の営業所とはターゲットの絞り方も提案回数も違うことがわかる。

 

4. よってもって (以上のことより)、 全ての営業所でターゲットを絞った、営業提案と欠品ゼロ活動を展開することで予算挽回を狙います。

 

 

 

いかがでしょう? ようは見る人に伝えて、共感を得るには伝えるべきエッセンスを単純化したロジカルなフレームワークとデータの裏づけが必要なのだ。
とりわけ、ココぞというときに【ソレだ!】と云わせしめる“データ”を見せて相手の心をわしづかみにする“統計センス”と“データ分析力”が必要。
 では、いったい統計センスとはなんだろう。

 

ひとことでいえば、目的に合致した適切なデータ分析をふまえた問題解決力であり、本質を伝える力だ。
 

 

  結論の導き方

 

さて、問題はその“本質”の伝えたいポイントが
① 増えたのか、減ったのかに関する【変化】なのか?
② 一部と全体を比較した【比較結果】なのか?
③ 利益や商品の【構成】や、その構成がいつも一定の比率をもっている【法則性】を訴えたいのか、
④ 売り場やプロモーション活動との因果関係や相関をもつという【関係性】を伝えたいのか

 

で要求される“データ分析”も訴求するグラフも異なるということだ。

しかし、この点はパターンがあるということも事実。

 

 

次回はそのパターンを洗い出すための、データ分析クアドラント(Stat Quadrant)についてご紹介します。

 

これは最初は、データ分析のセンスを身につけるには非常に大事なエッセンスです。

 

どうぞ、お楽しみに。

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連載 第3回: 「本当にシロ・クロ決着をつけたい課題は何なのか?」

2012年9月3日 2件のコメント

第4回連載 : 「ある営業所だけ売上が伸びている。なぜ?」

本当にシロ・クロ決着をつけたい課題は何なのか

基本にたちかえって勝負するための統計思考力、データ分析力

みなさん、こんにちは。 トレンド・トラップの竹之内です。


前回のコラム
では、「日本のビジネス界に「単純化したモデリングや指標化」と「データで裏付ける」工夫が
もっと普及すべき」そして、「勘の良い人には見えるパターンがある」ということを掲載した。

あなたが、セールスパーソンであれ、研究開発、企画、財務、経理などの部門に所属する人であれ
データを使ってお客様や上司に説明する機会はあるでしょう。

データ分析スキルを向上させるために闇雲にWebや書籍から情報を得ようとしても、身につかないケース
もあるのではないか。

世間では、本質的な問題解決や説得力を増すデータ分析というよりも、小手先で『わかりやすいエクセルグラフ作成』といった
内容や、本当は実務に使えない【古典的な最適化理論】を難しい数式で解くことに力んでいる本はたくさんある。
しかし、この手の知識で聞き手の琴線にふれることは無い。

では何が本当にタイセツなのか?
それは、本当にシロ・クロ決着をつけたい課題は何なのか?「パッと見てわかる」が大切!
“データ”をグラフ化して、伝えるべきポイントを鮮明にえぐりだすことだ。

ロジカルでもラテラル(*1)でも、自分でゴチャゴチャ論理を振りまわすより“データ”をして語らせよ!

百聞は一見に如かずだ。

ある営業所だけ売上が伸びている・・・

例えば、【ある営業所だけ売上が伸びている】という現象をトップに説明したいのなら、“営業所”という
“グループ間”の“比較グラフ”が効果的だ。パッとみて、“その営業所”が違うグループに属していることが
分かるだろう。

さらに、その現象が一時的なものか?継続して起きているのかを説明するには「折れ線グラフ」にして
相対比較、期間比較をしてみれば良い。

原因を【欠品を絶対におこさない在庫管理力】と【抜群の提案行動力】にあると云いたいならば、他の
営業所とは一味ちがう営業マンと仕入れ担当者とのコミュニケーションの良さを
“過去6ヶ月間の欠品発生回数”として営業所間での「比較グラフ」を提示する。

さらに【その営業所の販売計画と出荷実績の差異が一定の範囲にコントロールされている】ことを裏付ける
“販売計画精度グラフ”を提示し、行動が結果に結びついているという裏付けを“月間の提案回数”の比較グラフを
使えば、訴求したい法則性を相関関係や因果関係として裏付けることができるだろう。

業所の販売計画と出荷実績の差異

ビジネスのプレゼンでは、「結論から入る」ほうが勝率が上がる

ようは説得するにはデータ分析のセンスが必要なのだ。とりわけ、ココぞというときに【ソレだ!】と
云わせしめる“データ”を見せて相手の心をわしづかみにする“統計センス”と“データ分析力”が必要なのだ。

統計センスとはなんだろう。ひとことでいえば、目的に合致したデータ分析をふまえた問題解決力
であり、本質を伝える力だ。

しかし、ロジカルに説明するのに、いつもセンスに頼ってばかりはいられない。実際には、論理構成に
沿ったデータ解析とデータの特徴にあったグラフ化や図解などの訴求方法をパターンとして身に
つければ良いのだ。

ロジカル・シンキングで使われる論理構成の典型例は以下のパターンだ。

1. 結論から申し上げると・・・

2. なぜならば・・・

3. 具体的に言うと・・

4. よってもって(以上のことより)・・・

ビジネスのプレゼンでは、まちがいなく「結論から入る」ほうが勝率が上がる。問題はその“結論”が伝えたいポイントが増えたのか、減ったのかに関する【変化】なのか?
一部と全体を比較した【比較結果】なのか?利益や商品の【構成】や、その構成がいつも一定の比率をもっている【法則性】、売り場やプロモーション活動との因果関係や相関をもつという【関係性】を伝えたいのか?
これらの5つの切り口によって、要求される“データ分析”も訴求するグラフも異なるということだ。

上の例で云えば、『予算をたてたら、いきなり西東京営業所以外はすべて未達であった』という事実を
伝え
、同時に「西東京営業所」は過去も安定して達成しているという「規則性や法則性」について
パッと見てわかるようにすればよい。

さて、このロジックを統計センスの良い人はどのようにするか・・・

答えは次回で紹介します。

 

第4回連載 : 「ある営業所だけ売上が伸びている。なぜ?」

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用語解説
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※1 ラテラル

(ここでは、ラテラル シンキングを示す)発想に一切の“制約”を設けず、あらゆる可能性から問題を解決しようとする考え方のこと。
ロジカル・シンキング(論理思考)が左脳型の論理的な思考法だとすれば、ラテラル・シンキング(水平思考)は右脳型の
新しい価値を生み出す思考法と言われている。

連載 第2回: 「勘のよい人には見えるパターンがあります」

2012年7月30日 2件のコメント

第3回「本当にシロ・クロ決着をつけたい課題は何なのか?」

みなさん、こんにちは。 トレンド・トラップの竹之内です。最近は一般のビジネスマン向けのセミナーでは「今日は数学、数式を使わずに統計分析の考え方を説明します」 と冒頭で述べると、みなさん表情が明るくなりますね。このコラムでは少し数式の説明をしていきますが、みなさんに興味を持っていただけるように、スポーツの話から入りたいと思います。

勘のよい人には見えるパターンがあります

セイバーメトリクス

ものごとの勝敗がシロ・クロはっきりついてしまうスポーツの世界では、すでに選手の筋力データでトレーニング方法を組み立てたり、敵チーム選手の動きをデータ化し戦術を組み立てたりすることが常識化しつつある。
映画マネーボールを思い出してほしい。
ブラッド・ピットが演じる、ビリー・ビーンは野球選手を引退後オークランド・アスレチックスのゼネラル・マネージャーとなる。しかし、財政が苦しいアスレチックスでは、せっかく育てた有望選手を、強豪球団に引き抜かれるという事態が続いていた。チームの立て直しを図るビリーは、統計データを使って選手の将来的価値を予測するというセイバーメトリクス(Sabermetrics)なる野球選手を評価する指標≒KPI指標(キーパフォーマンスインジケーター)を導入。貧乏球団が勝ち上がる実話を取り上げている映画だ。

セイバーメトリクス(Sabermetrics)では、たとえば打者が創出した総得点を「XR(extrapolated runs)」という指標で定量化する。
XR=0.5×単打+0.72×二塁打+1.04×三塁打+1.44×本塁打+0.34×(四球+死球-故意四球)+0.25×故意四球+0.18×盗塁 -0.32×盗塁死-0.09×(打数-安打-三振)-0.098×三振-0.37×併殺打+0.37×犠飛+0.04×犠打

XRは打者が創出した総得点。
XRが50ならその打者が得点50を生み出したということであり、松井秀樹選手はNPB在籍10年ながらXRで計算するとNPB歴代10位につけている。しかし、他の選手と得点力を比較するにはもうすこし工夫が必要で

XR27 = XR÷(打数-安打+盗塁死+犠打+犠飛+併殺打)×27

これ「1番から9番まで同じ選手で打線を組んだら、一試合で何点稼げるか?」を表しています。打数で割って、最後に×27を実行するので、27打席あたえると・・・っていう感じでしょうか?イチローが1番から9番まで繰り返し打ったら、一試合で何点稼げるか?みたいなモノサシのこと。
要は、単純に比較可能な指標を設定し、大リーガーの力量をデータで裏付ける工夫なのだ。

私は、日本のビジネス界にもこのような「単純化したモデリングや指標化」と「データで裏付ける」工夫がもっと普及すべきだと感じています。
たとえば、日本のセールスマンやコンサルタント、設計者にもXRがあってもよいのではないかと思うのです。
セールスマンとしてみれば、私は最大で80億円のビジネスを受注したことがあります。でも25年間で一回だけ。
こうして思い返すと・・・一ヶ月≒23営業日で何回の商談アポを取り、何回提案書を提示、プレゼンして、いくらの金額を受注したかを重回帰分析するとセールスマンの得点力≒受注力がハッキリするだろう。

要は、アホに見えて、規律を守らない(毎朝遅刻するは・・定時連絡はしないは・・)で、低年俸のセールスマンのXRが品行方正で、立派な営業課長と同じレベルだったら・・・どうしますか?
無口で、パソコンや実験器具としか会話しない設計技術者の特許出願件数と、その特許が応用され製品化された件数や製品の累計売上高がXRに換算されたら・・・どうですか?
温厚でバランスのよい技術部長のXRがさんざんであったら・・・・どう思われますか?

スポーツの世界に比べれば、ビジネスの世界では、相変わらず属人的アナログの判断が多いように感じるのはわたしだけでしょうか。21世紀になってもビジネスの世界は、まさに経験と勘とドキョウだ。日本企業を取り巻く環境が安定的で、過去の成功パターンが通用するのであれば『勘と経験とドキョウ』が最もおおきな力を発揮します。

ビジネス世界の指標、勘の良い人には見えるパターンがある

しかし、リーマンショック以降は環境変化が速い上に大震災という自然災害にも遭遇してしまい、日本企業は経験だけではいかんともしがたい状況におかれているのではないでしょうか?
そんな時には「直面する問題を単純化し、指標化、モデリングし」「論理的なフレームワークを使い」「データの裏付けをとる」という思考プロセスが大きな威力を発揮します。
論理的にモノゴトを考える際には、演繹的に考えるパターンと実際に起きている現象や現場データから帰納的に考えるパターンの両面が重要です。

とりわけ、昨今ではインターネットやスマートフォンが生活に浸透してきた結果、私達の普段の生活はおどろくほどデータ化されています。
Twitterやfacebookには立寄ったレストランの名前、住所、写真が記録され、その際に一緒に食事をした友人の名前、プロフィールなどが一瞬で紐ついてデータ化されています。早朝や夜にランニングした走行距離や経路がごく自然に記録され公表されています。
実際には2.5EB(エクサバイト)もの大量データが日々生成されています。しかも、既存データの90%はここ数年以内に生成されたものです。ビッグデータといわれる所以はこのあたりにあるのです。
私達がコンビニで買い物をすると、ICタグなどのセンサー付きの通い箱で運ばれてきた弁当やサンドイッチがTカードなどの個人情報とともにPOSレジを通過し、Twitterなどのソーシャル・メディアにツブヤイた言葉がランキングされ、インターネット上に保存されたデジタル写真、ビデオ、アマゾンやZOZOタウンなどのオンラインショッピングの購入履歴レコード、携帯電話のGPS信号など、さまざまなソースで生成されています。このようなデータを総じて“ビッグデータ”と呼んで、ビジネス活用がすすんでいます。

本来データには、勘のよい人には見えるパターンがあります。


2つ以上のモノに数量的な法則性や、共通のシグナルがあるとわかれば、パッとみえたような気がする。
変化の波が大きく、顧客ニーズの移り変わりも速い現代を生きる我々は、直感と事実データを照らし合わせ、“デジタル勘”を鍛えてこそチャンスをモノにすることができる。
ビッグデータという名の大海を泳ぐすべを学び、パターンやシグナルをつかみ取れるようになれば、「効率と低価格」に溺れずに、付加価値とチャンスをモノにできるでしょう。

ここには、ふたつのポイントが隠れています。
1. 問題解決のプロセスとしてビッグデータを活用するには、直面する問題を単純化し、モデリングし、論理的な指標化・数式化を行い、データで裏付けるプロセスが定石となる。

2. さらに、論理的なフレームワークの中で演繹+帰納法の両面からの思考プロセスを踏まえたデータ分析が必要になる。

ちまたには「問題解決」や「プレゼン」をテーマにした本が書店をうめつくしている。しかし、統計センスやデータ分析力の観点から本当に価値あるアクションを導くという「結果をだす為の」ロジカル・シンキングや統計思考力やデータ分析力を解説したものは少ない。お客様の問題を解決する提案書やプレゼンは採用されるか否かで勝敗がハッキリしているのに・・・。
もっと踏み込んで云えば、ロジカル・シンキングにはモデリングや単純化したビジネスモデルが必要なのだ。『あ〜なれば、こ〜なる』といった単純化したモデルに対してデータの裏付けを伴うロジカルなルールを当てはめてこそ威力100倍なのだ。

逆にビッグデータを大量高速処理すれば、(ロジカルなフレームワークがなくても)そこから帰納的に新発見があるというのも楽観的すぎる誤解だ。
次回(第3回)は小手先のハウツーやテクニックよりは、基本にたちかえって結果をだすための統計思考力、データ分析力に絞って紹介したいと思います。

第3回「本当にシロ・クロ決着をつけたい課題は何なのか?」